下請法って知っている? 禁止取引を知って自分を守ろう!

パラレルワーク(複業)やフリーランスなど、クライアントからの案件受注で働いている人は、「下請法」について正しく理解しておく必要があります。

下請法はパラレルワーカーやフリーランスの身を守り、安全に働けるよう守ってくれている法律だからです。

今回の記事では、この「下請法」について詳しく解説します。

基本的な内容や禁止取引についても解説するため、正しい知識を身に着けて働けるようにしましょう。

こーへい
下請法はパラレルワーカーやフリーランスには重要な事項なので、少し難しいですが覚えておきましょう。

当記事の内容はこちら

  1. 下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者(クライアント)の権利濫用を防ぐための法律。支払いの遅延や減額などを阻止することができる
  2. 下請法の対象になるかどうかは、親事業者(クライアント)と下請け事業者の資本金によって変わる。フリーランスの場合は、基本的に全員が対象となる
  3. 下請代金の遅延や減額、不当返品や買いたたきなど、親事業者(クライアント)には多数の禁止取引がある。違反した場合は指導や罰金などがあり得る

「下請法」とは?

下請法」とは、正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」という法律です。

親事業者(クライアント)が下請け事業者に対する優位的地位を乱用しないように規定されたものとなっています。

独占禁止法を補完するための「特別法」のひとつとして存在しています。

下請法成立の歴史は、昭和30年代にさかのぼります。

当時の経済的布教から、下請け事業者は支払いの遅延が多数発生しており、非常に苦しい状況を強いられていました。

悪質なクライアントから下請け事業者を守り、安定した労働環境を形成するために成立した法律でもあります。

この下請法は、パラレルワーク(複業)やフリーランスにとってもとても重要です。

報酬の支払い遅延はもちろんのこと、減額や突然の契約内容の変更など、様々なトラブルを回避しやすくなるからです。

下請法の対象になる取引

下請法で対象となる取引は、いくつかのタイプに分類されます。

物品の製造委託

物品の販売や製造をおこなっている親事業者(クライアント)が、下請け事業者に規定の製造や加工を委託する取引です。

あくまで動産に限定されるため、建物をはじめとした不動産は含まれません。

修理委託

物品の修理をおこなっている親事業者(クライアント)が、下請け事業者に規定の修理業務を委託する取引です。

こちらも動産に限定されるため、建物のような不動産修理は含まれません。

情報成果物作成委託

情報成果物の作成や提供をおこなっている親事業者(クライアント)が、下請け事業者に規定の成果物作成を委託する取引です。

パラレルワーク(複業)やフリーランスで働いている人で、この情報成果物委託をしている人は非常に多いです。

システムエンジニア、プログラマー、イラストレーター、アニメーター、ライターなどは、すべてこの「情報成果物作成委託」を受けている形です。

役務提供委託

各種サービスや役務を提供している親事業者(クライアント)が、下請け事業者に規定のサービスや役務を委託する取引です。「サービス提供委託」とも呼ばれます。

配送業務や機械のメンテナンス、ビルのメンテナンスなどがここに含まれます。

ただし役務提供委託も動産に限定されるため、不動産を取り扱う建設工事委託などは含まれません。

「親事業者」と「下請け事業者」とは?

前述したように、下請法には「親事業者」と「下請け事業者」という規定があります。

パラレルワーカー(複業)は下請け事業者に含まれますが、対象になるかどうかは、クライアントの資本金額によって変わるのです。

物品の製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の場合

  • 親事業者の資本金が3億円以上:資本金3億円以下の質請け事業者が対象
  • 親事業者の資本金が1,000万円~3億円:資本金1,000万円以下の下請け事業者が対象

情報成果物作成委託・役務提供委託の場合

  • 親事業者の資本金が5,000万円以上:資本金5,000万円以下の下請け事業者が対象
  • 親事業者の資本金が1,000~5,000万円:資本金1,0000万円以下の下請け事業者が対象

フリーランスとして活動する場合(複業を含む)、資本金は関係ないため、基本的にはいずれの親事業者(クライアント)の場合でも下請法の対象となります。

親事業者の義務

下請法では、親事業者(クライアント)に対して4つの義務が定められています。

1.書面の交付

発注をおこなう際は、具体的な内容を記した書面を用意する義務があります。

親事業者(クライアント)と下請け事業者それぞれの名前や納期、金額や支払期日などの項目が必要です。

具体的な契約書の内容は、両者の合意の上で進めなくてはなりません。

『親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。

ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとし、この場合には、親事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない』
(引用:下請法第3条・公正取引委員会https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/act.html

2.支払い期日の設定

業務に対する報酬は、支払い期日を前もって決めておく必要があります。

具体的な金額や締日は案件ごとに異なりますが、支払い期日は納品日から60日以内に設定する義務があります。

『下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない』
(引用:下請法第2条2・公正取引委員会https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/act.html

3.書面の作成・保存

案件が無事に完了したあとは、取引を書面として記録し、2年間は保存しておく義務があります。

『親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、公正取引委員会規則で定めるところにより、下請事業者の給付、給付の受領(役務提供委託をした場合にあつては、下請事業者がした役務を提供する行為の実施)、下請代金の支払その他の事項について記載し又は記録した書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成し、これを保存しなければならない』
(引用:下請法第5条・公正取引委員会https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/act.html

4.遅延利息の支払い

万が一、前もって設定された期日までに報酬を支払わなかった場合、年利14..6%の遅延利息を支払う義務が生じます。

『親事業者は、下請代金の支払期日までに下請代金を支払わなかつたときは、下請事業者に対し、下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日)から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない』
(引用:下請法第4条2・公正取引委員会https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/act.html

下請法の禁止取引

下請法では、立場が弱くなりがちな下請け事業者を守るため、様々な禁止取引が定められています。

もしも違反した場合は、公正取引委員会の調査のもと、以下の3つの措置が取られることになります。

  1. 改善を求める勧告後、親事業者(クライアント)を公表
  2. 違反行為の該当を記載した書面を交付し、指導
  3. 違反行為をした企業及び個人に対し、最高50万円の罰金

それでは親事業者(クライアント)に求められる禁止行為について、詳しく解説していきましょう。

受領拒否の禁止

下請け事業者に責任がないにも関わらず、納品物の受取を拒否することは禁止されています。

親事業者(クライアント)の都合は問われません。

例を挙げるなら、「イラストを発注したものの、掲載予定だった雑誌が休刊になってしまったため、報酬を支払わない」といったケースは禁止されているということです。

下請代金の支払い遅延の禁止

業務の報酬を、事前に設定した支払い期日までに支払わないことは禁止されています。

納品日から60日以内となっているため、この期間内の支払いが義務づけられています。

万が一やむを得ない事情がある場合は、その旨を書面に記載し、遅延利子14.6%を追加します。

下請代金の減額の禁止

下請け事業者に責任がないにも関わらず、事前に契約した下請代金を減額することは禁止されています。

たとえ下請け事業者に責任があり、両者の合意が得られていた場合でも、近年は下請法の禁止取引になるとされたケースもあるため注意が必要です。

返品の禁止

下請け事業者に責任がないにも関わらず、一度受領した目的物を引き取らせることは禁止されています。

ただし、下請け事業者に明らかな瑕疵がある場合は例外となります。

買いたたきの禁止

通常支払われるべき対価と比較して、極端に低い下請け代金を要求することも禁止されています。

著しい低予算を求めることは、法律上で禁止されているというわけです。

物の購入強制・役務の利用強制の禁止

親事業者(クライアント)が指定する物品の購入や、サービスの利用を強要することは禁止されています。

たとえ正当な理由がある場合は、その購入代・利用代を下請け代金に上乗せして支払う義務が生じます。

報復措置の禁止

下請法の禁止取引を告発した場合、その報復として取引を停止したり、量を減らしたりする行為は禁止されています。

「不当な扱いを受けているが、告発すれば仕事がもらえなくなってしまう」といったトラブルを回避するための禁止内容です。

有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止

下請け事業者が業務で必要な有償支給原材料を購入する場合、その対価を早期支払い請求したり、下請け代金から控除したりすることは禁止されています。

割引困難な手形の交付の禁止

下請代金を手形を支払う場合、支払い期日までに一般の金融機関で割引を受けにくい手形を交付することは禁止されています。

下請け事業者が報酬を正しく受け取りにくくなってしまう恐れがあるからです。

不当な経済上の利益の提供要請の禁止

親事業者(クライアント)の利益のために、下請け事業者に現金やサービスなどの利益を提供させることは禁止されています。

近年問題視されがちな「二次使用の権利料を支払わない」といったケースも、この禁止取引に当てはまります。

不当なやり直し等の禁止

下請け事業者に責任がないのにも関わらず、追加報酬なしに発注の取り消しをしたり、内容の変更ややり直しを求めたりすることは禁止されています。

正当にやり直しを求める場合は、具体的な内容や期日を書面で作成し、両者の合意を得る必要があります。

まとめ

今回の記事では、下請法について詳しく解説しました。

パラレルワーク(複業)やフリーランスで働いていると、どうしても親事業者(クライアント)の持つ権利が大きくなります。

その権利を専用し、下請け事業者が不当な扱いを受けることがないように定められているのが「下請法」です。

しかし、現在のパラレルワーク(複業)界隈は、下請法を無視した悪質なクライアントが増加しているのも確かです。

あなたがパラレルワーク(複業)に取り組む場合は、下請法の詳細をきちんと確認し、違法取引を受けることがないよう十分注意してください。