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フリーランスとして、事業が順調に成長していくと「節税対策」や「事業成長」のために「法人化(法人成り)」を考えるタイミングが必ず訪れます!
とはいえ、
- 法人化のメリットやデメリット
- 法人化する目安や基準
- 法人化するタイミング
など、興味あるけど、不安な気持ちもあると思います。
そこで今回は、、フリーランスが法人化(法人成り)のメリット・デメリットや法人化する目安やタイミングについて解説していきます。
フリーランスが法人化するメリットとは?
フリーランスが法人化するメリットは、次の4つです。
- 法人は税制上有利なため節税効果が高い
- 社会保険(厚生年金・健康保険)に加入できる
- 退職金を経費にできる
- 社会的信用度が上がる
それでは、詳しく説明していきます!
法人は税制上有利なため節税効果が高い
フリーランスが法人化(法人成り)する理由の中で、最も多いのが「節税効果が高い」という点です!
具体的には、以下の4つです。
- 個人事業主と法人で所得税率が違う
- 給与所得控除が利用できる
- 個人では計上できない経費を計上できる
- 消費税の課税を2年間免税できる
- 欠損金の繰越控除の期間が長くなる
個人事業主と法人で所得税率が違う
個人事業主の税金
所得税 | 累進課税 5%~45% |
---|---|
個人事業税 | 5% |
住民税 | 所得割:10% |
均等割:約5千円 | |
消費税 | ― |
法人の税金
法人税 | 15% or 23.2% |
---|---|
法人事業税 | 3.4%~6.7% |
法人住民税 | 法人税割:3.2% (東京都23区 12.9%) |
均等割:7~380万円 | |
消費税 | ― |
上記のとおり個人事業主の税率と法人の税率には、大きな差があることがわかります。
つまり、所得が高いフリーランスは、所得税の累進課税の影響で最大で45%の税率になるので、ある一定の所得水準を超過したら、法人にした方が税率が低い、ということになります。
一方で、法人化したら必ず節税できる、ということではありません。
毎年の所得が安定的に900万円~1,000万円を超える場合は、「税率の差」で納税額が減る可能性が高くなります。
しかし、フリーランスは、事業が安定しないことも多いので、タイミングや他の節税対策を組み合わられるか、検討した上で法人化を決めてもよいでしょう。
給与所得控除が利用できる
法人化すると、フリーランスは、役員として給与(役員報酬)を受け取ります。
給与なので、会社員と同じく「給与所得控除」という特別な控除を受けることができます。
つまりフリーランスは、法人化することで、会社員のメリットも享受できるのです!
法人 | 事業の必要経費+役員報酬も全額経費 |
---|---|
個人事業主 | 給与所得控除 |
家族がいる人は、家族を役員にすることで、支払った役員報酬も給与所得控除の対象になります。
世帯所得で考えると、所得の分散効果によって節税効果が期待できます。
さらに、所得の分散効果は、累進課税の税率の調整にも有効です。
本来、2,000万円の所得を「1,200万円」と「800万円」に分散することで、40%の税率が「33%」と「23%」に引き下げることができます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
個人では計上できない経費を計上できる
フリーランスは、様々な必要経費が認められています。
しかし、以下の経費は、個人事業主では、認められていません。
- 生命保険料
- 社宅
- 福利厚生費
- 出張日当
法人化することで、これらの経費を計上できます。
役員の自宅を法人名義で借りることで、家賃の一定割合を経費に計上できたり、旅費規程を作成することで、出張の日当を経費に計上できます。
つまり、法人化することで、税率や給与所得控除だけでなく、経費として認められる範囲が広がる、というメリットが享受できるのです。
あらためて、フリーランス・個人事業主の経費について、チェックしたい人は、以下をご覧ください!
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消費税の課税を2年間免税できる
フリーランスは、年間売上が1,000万円を超過すると、消費税の納税義務が発生します。
法人も同様に売上1,000万円超で消費税の課税事業者となります。
しかし、法人化することで、会社設立の1期目と2期目まで、消費税の免税事業者になれるので、合法的に消費税を節税できます。
欠損金の繰越控除の期間が長くなる
フリーランスが法人化すると欠損金(赤字)の繰越控除ができる期間が長くなります。
法人 | 9年間 |
---|---|
個人事業主(青色申告) | 3年間 |
法人であっても、個人事業主でも、事業環境の変化によって、赤字が発生することもあり得ます。
そんな時に、欠損金(赤字)を翌年以降に繰越ことで、将来、利益が出たときに、欠損金を充てることで節税できる、ということです。
社会保険(厚生年金・健康保険)に加入できる
法人化すると、健康保険や厚生年金などの「社会保険」に加入しなければいけません。
フリーランスが加入している国民健康保険と健康保険とでは、その内容が大きく異なります。
代表的な違いは、以下のとおりです。
- 傷病手当金(病気等による休業補償)
- 扶養制度(保険料の負担なしで家族が加入できる)
- 出産手当金(出産前後で働けない期間に、収入の3分の2が支給)
また、健康保険料は、法人(企業)が半額負担することになります。
扶養制度と企業の保険料の半額負担を考慮すると、法人化のメリットは大きいと思います。
退職金を経費にできる
フリーランスが法人化すると、退職金を損金にできます。
フリーランスは、退職金を支払うことはできませんが、法人化することで、自分や役員に退職金を支払うことができます。
なので、毎月、退職金として積立てた資金は、経費として計上できるため、節税効果を享受できるのです。
また、退職金にかかる税金は、給与所得や事業所得と比較すると、ものすごく低いという点もメリットです。
社会的信用度が上がる
フリーランスが法人化すると、「法人格」を取得することができます。
法人化すると、法律上の権利や義務の主体となる権利能力が認められます。
また、法人名義で
- 銀行口座の開設
- 銀行から融資
- 賃貸オフィスの契約で
などができるので、フリーランスと比較すると、取引上の信用度の向上が期待できます!
また、公的機関から受けられる助成金の範囲が拡大するので、事業運営上もメリットが大きいのです。
企業との取引においても法人化することで、メリットがあります。
企業によっては、フリーランス(個人事業主)との契約ができない、ということもあるので、法人化することで、取引の幅が広がる可能性が高いです。
フリーランスが法人化するデメリットとは?
フリーランスの法人化は、メリットだけでなく、デメリットや注意点もあります。
デメリットをしっかり理解した上で、法人化を行うようにしましょう!
- 法人設立にはコストがかかる
- 法人の維持費用がかかる
- 赤字でも税金がかかる
- 社会保険料の負担が増える
- 給与(役員報酬)が固定される
- 交際費の経費計上に制限がある
それでは、詳しく説明していきます。
法人設立にはコストがかかる
フリーランスは、法人化のために、設立の手続きや費用が必要です。
法人設立の手続き
- 基本事項の決定
- 定款の作成
- 資本金の払込
- 登記書類の作成
- 登記申請
加えて、個人事業主から法人への「資産の移行」や「個人事業の廃業手続き」が必要です。
個人事業主の廃止については、以下の記事をご覧ください。
この記事でわかること フリーランスの廃業理由 フリーランスが廃業しないために必要なこと フリーランスが廃業するときの注意点フリーランス・複業・パラレルキャリア専門メディア「パラレルワーカーズ[…]
法人設立の費用
- 定款認証費:50,000円
- 収入印紙代:40,000円
- 謄本交付料:2,000円
- 登録免許税:150,000円(最低)
- 資本金 :会社による
定款を電子認証にすることで、収入印紙の「40,000円」を節約することもできますが、現実的には、専門家に依頼することになるので、法人設立には、最低でも「約25万円」はかかる、ということです。
法人の維持費用がかかる
法人を維持するには、決算や法人税の申告など手間や維持費用がかかります。
決算や法人税の申告書は、素人が簡単にできるものではありません。
なので、税理士や公認会計士などの専門家に依頼することになります。ちなみに、専門家の報酬は、最低でも10万円はかかります。
この他にも、株主総会や取締役会の開催や議事録の作成など、ひとり法人であっても、実施しなければいけないのです。
赤字でも税金がかかる
フリーランスは、赤字の場合、所得がないので、税金は発生しません。
しかし、法人の場合は、赤字であっても法人住民税が発生します。
具体的には、70,000円の法人住民税を納めなければなりません。
社会保険料の負担が増える
フリーランスは、従業員の人数が5名以下なら、社会保険の加入は必須ではありません。
しかし、法人の場合は、社会保険の加入は必須です。たとえ、ひとり法人であっても加入は必須です。
社会保険料(健康保険・厚生年金)は、従業員と会社が折半して負担します。
なので、従業員を雇うと、社会保険料の負担が増加する、ということです。
また、雇用保険や労災保険の保険料も負担しなければいけません。
従業員を雇うということは、事業が成長している証拠なので、そこまで気にすることではありませんが、給与以外にも負担すべき費用があることは、知っておく必要があります。
給与(役員報酬)が固定される
フリーランスや個人事業主は、毎月稼いだお金をすべて収入として使うことができます(税金があるので全部使ってはダメですが!)。
しかし、法人化すると、「あらかじめ決定した役員報酬」を給料という形で受け取ることになります。
フリーランスは、法人化すると、プライベートのお金と会社のお金を別けて管理しなければいけないため、あらかじめ役員報酬を決める必要があるのです。
ちなみに、役員報酬は、期中に自由に変更できないので、慎重に決めましょう!
また、途中で役員報酬を変更すると、変更した額(増額・減額)について、損金に算入できないため、注意してください!
交際費が全額損金にできない
フリーランスの場合、事業に関連した交際費は、全額損金にできます。
しかし、法人の場合、交際費のうち損金に算入できるのは、飲食費のみ50%までとなっています。
また、資本金が1億円以下の法人は、年間800万円までという上限が設定されているのです。
事業活動において、交際費負担が大きい場合、法人化によって損金算入の割合が減ってしまうこともあるので、注意しましょう!
フリーランスが法人化するベストなタイミングは?
では、フリーランスが法人化(法人成り)するタイミングは、いつ頃がいいのでしょうか?
ベストなタイミングが気になりますよね?
色んなブログやメディアで「500万円」とか「600万円」とか「900万円」とか言われていて、正直言ってよく分からない、という状況になっていませんか?
はい!僕も調査したり、計算したりして、よく分からなくなりました・・・
大切なことは、
利益が500万円を超えたとき
法人化の目安として、フリーランスの事業活動で「利益が500万円を超えたとき」という基準は、よく言われています。
「利益=所得」として、単純に考えると「500万円」になると、個人は税率20%、法人は税率15%です。
つまり、「利益500万円」から法人の方が税負担が低くなる可能性があるため、この目安が巷で言われているのです。
売上が1,000万円を超えたとき
法人化のもう1つの目安は、「売上が1,000万円を超えたとき」という基準です。
これは、売上が1,000万円を超えると消費税が課税されるからです。
法人化のメリットでもご紹介した通り、法人化すると2期までは消費税を納めなくてもよくなります。
つまり、事業活動で受け取った消費税を収入として計上できるのです。
現在、消費税は10%なので、その効果は、よりも大きいものになっています。
まとめ
今回は、フリーランスが法人化するメリットやデメリット・注意点について解説しました。
法人化することで、
- 法人は税制上有利なため節税効果が高い
- 社会保険(厚生年金・健康保険)に加入できる
- 退職金を経費にできる
- 社会的信用度が上がる
など、様々なメリットがあります。
一方で、法人化には手間や費用もかかります。
そして、法人を維持するためには、会計や事務手続きも複雑なるなど、デメリットも少なくありません。
フリーランスが法人化をするタイミングは、節税対策も1つの判断軸です。
しかし、注意しなければいけないことも多々あります。
なので、法人化については、事業活動や税務の専門家に相談することをおすすめします!
法人化すれば、いずれにしても専門家の力が必要になるので、自分にあった専門家を探す、という視点も大切ですよ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!